【マンガ】大童澄瞳『映像研には手を出すな!』
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作品紹介

JACK
きっと誰もが体験した「好きなことに一生懸命」を思い出させてくれる話題沸騰中の作品!

作品情報

映像研には手を出すな!

作者:
・大童澄瞳

連載誌:
・月刊!スピリッツ

連載期間:
・2016年~

既刊:
・5巻

あらすじ

浅草みどり(あさくさみどり)は芝浜高校に入学し、高校の複雑怪奇な構造に興奮していた。

「私の考えた最強の世界」を描くことを夢にしており、アニメ制作をやりたい浅草だったが、一人では一歩が踏み出せない。

アニメ研究同好会の発表を見学しに行きたい浅草は、瓶牛乳を買うことを条件に、常日頃から金儲けのことを考えている金森さやか(かなもりさやか)を連れ出して視聴覚室へ向かう。

アニメ研の発表を見ている最中、二人はサングラスの男に追われるカリスマ読者モデルの水崎ツバメ(みずさきつばめ)と出会う。

男は水崎の使用人であったが、勘違いした浅草は水崎を連れ去り、コインランドリーへと逃げ込んだ。

水崎もアニメが好きでアニメーター志望であることに商機を見出した金森は、浅草と一緒にアニメを作ってはどうかと提案。

映画俳優の親からアニメ研に入るのを止められていた水崎であったが、金森の「入部がダメなら部を作ればいい」という発言に乗る形で、3人で映像研究同好会を設立することにした。

レビュー

感想

公式サイトで試し読み公開中なので第1話だけでも読んでほしい。

僕はこの第1話で「あれ、これもしかしたらすごい作品かもしれんぞ」と思ったシーンがいくつかあったんだけれど、皆どうだろうか。

吹き出しにかかったパース、独特の効果音、金森氏のメガネの度の表現、設定の書き込みとシームレスな妄想シーンへの導入。

リーダビリティが高いというか、「映像を読んでいる」感覚なんだよね。

 

本作の筆者、大童澄瞳(おおわらすみと)は高校生の時に映像部に所属していて、東洋美術学校絵画科卒業後、独学でアニメーションを学んでいたらしい。

元々「映像の見せ方/映像としての見え方」が身についているようで、ちょっとほかのマンガ家とは読んだ時の印象が違うように感じる。

被写界深度を調整するフォーカスシフトとか、パースのかかりかたとか、先述の吹き出しの件なんかまさしくそうで、なんというかカメラ越しに撮った絵なんだよね。

カメラ越しといえば『NARUTO』の岸本斉史が描く魚眼レンズ越しの絵も良かった。

奥行きというか立体感がある。

遠くの背景が適当な感じの線画だったり、直線もフリーハンドで書かれてちょっとぐにゃっとしていたり、きっとわざとなんだろうなぁ、うまい。

ついつい一コマずつじっくり見てしまう。

※「パース」=perspectiveのこと。遠近法・透視法を用いた立体表現。

※「被写界深度」=焦点(ピント)が合っているように見える被写体側の距離の範囲のこと。

※「フォーカスシフト」=焦点が手前や奥に切り替わって、それ以外の個所がぼけて見える技法。

 

アニメ作りの現場を描いた作品として過去にアニメ『SHIROBAKO』のレビューを書いたけど、本作はまた違った熱量がある。

商業アニメではなく、自主製作アニメにかける青春だ。

アニメ、映像に限らず、モノづくり系の人の原点は「誰かに喜ばれたい」というより「自分でイイと思ったものをカタチにしたい」なはずなので、ベテランの人も初心に帰ることのできる作品だと思う。

この後も「如何にクオリティを上げるか」「効率化のための妥協点はどこか」といったクリエイティブ面のみならず、「どうやって認知を広げるか」「予算獲得はどうするか」などプロデュース、マネジメント面への言及もあるが、ここも見どころとしてかなり大きな割合を占めているので、そこまでしっかり読み進めてもらいたい。

JACK
マネジメント担当の金森氏ファンすごい多いけど、読めばわかる。あぁいう人がいないとダメなんだ。

 

もっと詳しく
3巻発売記念インタビュー。
マンガのキャプチャを交えての記事なので未読でもイメージしやすい。

 

2020/03/08追記

本作の時代設定は2050年代とのことだけれど、ちょくちょく出てくる古いネタ(「あっと驚くタメゴロー」とか)や落語ネタ("芝浜"高校、"富久"書店など)がさりげなく使われていて探すのも面白い。

もっと作品を楽しむために

2020年1月6日からNHK総合でアニメ放映がスタート!

『劇場版クレヨンしんちゃんシリーズ』『四畳半神話大系』の湯浅政明が監督を務め、「最強の世界」を映像化する。

いやぁこれはテーマがテーマなだけに相当なこだわりを持って作らないと大変だぞ…。

動画出典:warnerbrosanime

 

うん、キャラクターボイスがなかなかいいな。

浅草氏なんかばっちりじゃないか。

妄想シーンは『風立ちぬ』みたいに声でやってるのね、これもいい感じ。

アニメ終了後にtwitterでおさらい用のミニアニメもあって、見逃した人はこちらを追いかけては。

そしてアニメ化で最も話題になったのがオープニング曲、chelmicoの「Easy Breezy」。

OPの最初の独特なポーズを決める3人をいろんな作品のキャラクターに書き換えるというブームがtwitterで発生。

「映像研 OP トレス」で検索するとたくさん出てくるので気になる人はリンク先を確認してくれ。

動画出典:warnerbrosanime

JACK
皆のパロディ作品、普通に楽しい。

 

2020/03/26追記

動画出典:TOHO Visual Entertainmentチャンネル

 

2020年5月15日に乃木坂46の齋藤飛鳥主演で実写映画化が決定。

またこれに先立ち、4月からTBS系列で全6話のドラマも控えているらしい。

残念ながら私はこちらには興味がないので追加報告はしないと思うが、ファンの方は是非楽しんでほしい。

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