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作品紹介

作品情報

七回死んだ男

著者:
・西澤保彦

出版:
・1998年、講談社文庫
・初刊は1995年、講談社ノベルス

あらすじ

高校生の大庭久太郎(おおばひさたろう)は、自分の意図と関係なく時間の「反復落とし穴」に入ってしまうという特殊な体質を持っていた。

それは不意に訪れ、0時から24時まできっかり24時間を9回繰り返す、というものだった。

9回目に行動した内容が正しいものと記憶され、それ以外の8回分の記憶は久太郎以外は認知できない。

ある正月に一族が揃った場で再び「反復落とし穴」に入ってしまった久太郎だったが、2回目の「同日」に祖父の渕上零治郎(ふちがみれいじろう)が何者かに殺害されるという事件が起こる。

その前日に莫大な遺産をたった一人に譲渡するための書類を準備してあることを一族の前で発表されたこともあり、犯行動機は皆等しくあるように思える。

1回目には殺害されなかったはずの零治郎を救うため、久太郎は残り8回の「同日」を犯人探しと殺害阻止に費やすことにした。

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レビュー

感想

あらすじでも書いた通り、本作は「ループもの」である。

2000年~2010年代初頭に結構このジャンル流行った気がする。

『ひぐらしのなく頃に』『涼宮ハルヒの暴走』『時をかける少女』『STEINS;GATE』『魔法少女まどか☆マギカ』…

時間旅行系SFとか認知科学系ミステリとか大好物なんだよねぇ。

 

おっと話が逸れそうだ。

こういうジャンルとか用語の話はそのうち特集組んで記事にしよう。

話を戻して、本作の設定のキーは「9回目のループが〈決定版〉になる」という点。

「何かを達成したら抜け出せる」でも「最善策を見つけるまで何度でも繰り返す」でもなくて、「9回目が正」。

この〈ルール〉を主人公(および読者)が理解した上でどう選択していくかというパズルのような面白さがある。

この設定を共有していると当然章題から先が読めてしまうわけだ。

「あれ?この小説のタイトルって『七回死んだ男』だよな?…ってことは、ここで解決しそうだぞ。」

ちなみに章題は以下の通り。

・とりあえず事件のさわりだけでも―
・主人公は設定を説明する
・登場人物たちが一堂に会す
・不穏な空気はさらに高まる
・そして事件は起きる
・やっぱり事件は起きる
・しつこく事件は起きる
・まだまだ事件は起きる
・それでも事件は起きる
・嫌でも事件は起きる
・事件は最後にあがく
・そして誰も死ななかったりする
・事件は逆襲する
・螺旋を抜ける時
・時の螺旋は終わらない―

でもご安心を。

勘のいい人やミステリを読み慣れた人なら既にお分かりの通り、最後にしっかり予想を覆してまとめてくれる。

「そういう解釈なら確かに全部に説明がつく気がする…」と思わせる謎解きパートは人によっては物足りなさを感じるかもしれないが。

発生してしまった殺人を未然に防ぐというSF的要素も混じったパズル・ミステリ。

いつもと一味違った読書体験が欲しいあなたにオススメ。

もっと作品を楽しむために

「あとがき」によれば、本作は映画『恋はデジャ・ブ』(原題:Groundhog Day)に着想を得たとのことだったので、こちらの映画を紹介。

本記事執筆にあたり初鑑賞したのだけれど、アメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されているだけあって、やはり名作。

1993年にアメリカで公開(日本同年公開)。

Harold Ramis(ハロルド・ライミス)監督、Bill Murray(ビル・マーレイ)主演。

動画出典:YouTube / Movieclips Classic Trailers

ペンシルベニア州パンクスタウニーで毎年2月2日に行われるGroundhog Day(地ネズミの日:春の到来時期を占う伝統行事)の取材に来た天気予報士が原因不明なまま何度もGroundhog Dayを繰り返し、自己中心的で高慢な性格を改め、恋愛を成就させることでループを抜け出すというあらすじ。

どこかCharles John Huffam Dickens(チャールズ・ディケンズ)の『クリスマス・キャロル』(原題:A Christmas Carol)を彷彿とさせる訓示めいたストーリー。

冬のシーズンに恋人と観たい映画ですね。

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