作品紹介
動画出典:Alabama Shakes
作品情報
Don't Wanna Fight
アーティスト:
・Alabama Shakes
リリース:
・2015年
アルバム:
・2ndスタジオアルバム "Sound & Color"
アーティスト情報
Alabama Shakes(アラバマ・シェイクス)
シンガーでギタリストのBrittany Howard(ブリタニー・ハワード)のソウルフルな歌声が特徴的なブルースロックバンド。
ベーシストのZac Cockrell(ザック・コックレル)はブリタニーと高校時代のクラスメイト。
2人は卒業後にブリタニーの祖父母の旧居で週2回のジャムセッションを主催し、これに地元の音楽店に勤めていたドラマーのSteve Johnson(スティーブ・ジョンソン)がザックの勧めで参加。
2009年にグループは"The Shakes"の名でライブデビューを果たした。
3人がアラバマ州ディケイターのスタジオでオリジナル曲のデモ音源を録音。
これを耳にしたブリタニーの中学時代の上級生でギタリストのHeath Fogg(ヒース・フォッグ)が参加する。
同名のバンドがあることを知り、バンド名を"Alabama Shakes"に変更。
2011年に4曲入りEP"Alabama Shakes"がメディアの注目を集め、イギリスのRough Trade RecordsとアメリカのATO RECORDSと契約を結ぶに至った。
レビュー
感想
「もうこれ以上戦いたくない」というシンプルな怒りと悲しみが表情豊かに歌われる。
自己を主張するでもなく、他者を愚弄するでもなく、争うことの愚かさを嘆く歌詞が胸に響く。
こんな時代だからこそ(いや、いつの時代もか)罵り合ったり、争いあったりすること、もしくはそれを見ることに疲れた人に聞いてほしい。
歌の上手さって音程とかリズム感とか色々あるんだろうけど、やっぱり表情というか感情というかこのあたりの表現に出ると思うんだよね。
2016年の第58回グラミー賞でBest Rock Song部門受賞も納得。
彼らライブパフォーマンスも圧巻なので、次の動画も観てほしい。
こちらは同アルバムに収録されている"Gimme All Your Love"
どちらも耳残りの良いフレーズもと全体のサウンドが気持ちよくて何度も聴いてしまう。
動画出典:Alabama Shakes
アルバムは一つ前に遡るけど、1stアルバム"Boys & Girls"から"Hold On"も紹介したい。
2013年の第55回グラミー賞でBest Rock Performance部門にノミネートされており、こっちもパワフルで格好良い。
ちなみに2013年は受賞を逃したんだけど、2016年に"Don't Wanna Fight"で同部門受賞を果たしている。
下の映像は2012年撮影だから契約後間もない頃だね。
動画出典:Alabama Shakes
22歳になった自分に宛てて書いた詞が良い。
大人になった自分なんて昔は想像できなかったけど、やりたいことは沢山あるくせに時間がないけど、この先どうなるかなんてわからないけど、"hold on" 頑張ろう。
頑張り方も人それぞれ、その場で耐えるもよし、行動を起こすもよし。
シンプルながらも力強くエールを送ってくれる歌詞が多いのも魅力の一つですね。
補足
今回記事執筆にあたり調べていて一番衝撃だったのが、ブリタニーの年齢が私の一つ年上だったこと(蛇足)。
もっと作品を楽しむために
ブリタニーの歌声はしばしばJanis Lyn Joplin(ジャニス・ジョプリン)を引き合いに出して評価される。
ジャニス・ジョプリンは1960年代後半を代表する女性シンガー。
この時代のミュージシャンは27歳で亡くなる人が多く印象的だった。
彼女もそんなThe 27 Club(27クラブ)の一人。
確かに歌い方というかソウルが近いように感じる。
彼女の曲だと僕は"Cry Baby"が好き。
ダメな男を包み込む懐の深さをその年齢でしっかりと歌えるのがすごい。
動画出典:Janis Joplin
2019年、ブリタニー・ハワードはソロ作品を発表した。
アルバムタイトルは"Jaime"、13歳の若さで網膜芽細胞腫で亡くなった4歳年上の姉の名前を冠している。
タイトルこそピアノや詩の書き方を教えてくれた姉を偲んでいるが、内容は彼女自身と向き合ったものになっているようだ。
白人の母親と黒人の父親の間に生まれ、アイデンティティーを探究し続けてきた彼女の今後の作品に期待したい。
最後に紹介する曲はアルバム"Jamie"より"Stay High"。
父親に捧げた曲で、MVには彼女の家族や友人が出演している。
動画出典:Brittany Howard