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作品紹介

作品情報

『QJKJQ』

著者:佐藤究

2018年に講談社文庫より出版(初刊は2016年、講談社)。

第62回江戸川乱歩賞受賞。

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あらすじ

西東京市に住む市野亜李亜は猟奇殺人一家で育った女子高生。

血を抜いてそれを本人に飲ませる住宅販売員の父、バーベルのシャフトで撲殺する母、喉を噛みちぎった後につるはしとシャベルで心臓を抉り出す引きこもりの兄、そして亜李亜は鹿の角から削りだした手製のスタッグナイフで刺すというスタイルを持っていた。

母と兄はいつも家にある「専用部屋」で殺人を行い、父が唯一家で殺害した男は干からびた状態で地下室に安置されていた。

不動産業界紙を熱心に読む父との短い会話や、近所の公園でこっそり鳩を殺すOL「鳩ポン」の観察などが亜李亜の日常。

夏のある日、頭痛を感じて帰宅した亜李亜は、部屋で惨殺された兄を見つける。

凶器はおそらくパン切り包丁。

父と母を呼び再度兄の部屋を訪れるも、兄の死体は消失しており、どれだけ探しても血の一滴も見当たらない。

兄殺害の犯人捜しを始める亜李亜だったが…。

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レビュー

感想

やっぱり「江戸川乱歩賞」はこういう読後感の眩暈がなきゃね。

文庫の帯には有栖川有栖の「これは平成の『ドグラ・マグラ』である」、今野敏の「殺人そのものを突き詰めることで、人間を見つめている。脱帽だ」という推薦分が。

「誰が兄を殺した?どうやって?」というわかりやすいミステリの入り口にいたはずなのに、気付いたらすごい遠くに放り捨てられる。

"平成の『ドグラ・マグラ』"は言い得て妙で、ほんの数ページで読者をブンブン振り回してくれる。

しかしそれでいて着地がブレない。

京極夏彦『姑獲鳥の夏』を彷彿とさせる。

ただ、やや玄人向きだろう。

ミステリ初心者にはお薦めできない。

『ドグラ・マグラ』未読の方は青空文庫で公開されているので、是非。

長いが。

これは蛇足だが、あの「…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。」を彷彿とさせる擬音さえ登場する。

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もっと作品を楽しむために

本作執筆時に参考にしたと本人が語る科学ノンフィクションの周辺情報を載せようと思ったけど、途中で間接的なネタバレだと気づき、断念。

読み終わった方は以下インタビュー記事に掲載されている本を読むと面白いと思う。

もっと詳しく
佐藤究「人生最高の10冊」を掲載したインタビュー記事

ここでは本作の筆者について紹介するに留める。

元々筆者は純文学のジャンルにいた。

佐藤憲胤(さとう のりかず)名義で、2004年に第47回群像新人文学賞の優秀作に選出された『サージウスの死神』でデビュー。

ペンネームを犬胤究(けんいん きわむ)に改めて執筆したものが本作。

第62回江戸川乱歩賞を受賞し、今野敏の命名によって佐藤究(さとう きわむ)となった。

…純文学すらのみ込むような勢いで、新しいミステリーのジャンルを創るぐらいでいきたいですね。そうすれば、他の作家のマーケットにもなりますから。それにもう一つ、50歳までに、どういう作家になりたいかというイメージの中で、アメリカ探偵作家クラブのエドガー賞にノミネートされたい、というのがあります。…

新しいミステリーのジャンル、どんどん切り拓いてもらいたいですね。

※「エドガー賞」は米国で最も権威があるミステリージャンルの賞

やはり目標のある人は強い。

ジャンルを越境し、尚且つそのジャンルの更なる高みを目指す筆者の今後に注目したい。

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