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作品紹介

動画出典:YouTubeムービー(提供元:Sony Pictures Movies & Shows)

作品情報

『パプリカ』

監督:今敏

製作会社:マッドハウス

声の出演:林原めぐみ(パプリカ/千葉敦子)、古谷徹(時田浩作)、堀勝之祐(島寅太郎)、大塚明夫(粉川利美)、江守徹(乾精次郎)、山寺宏一(小山内守男)

原作:筒井康隆『パプリカ』

 

2006年11月25日に日本で公開。

上映時間は90分。

2007年東京アニメアワードにて優秀作品賞(劇場映画部門)、および個人部門において音楽賞(平沢進)を受賞。

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あらすじ

精神医療総合研究所の職員として働く千葉敦子は、「DCミニ」と呼ばれるPT(サイコセラピー)機器を用い、夢探偵「パプリカ」として他者の夢に介入してサイコセラピーを行っていた。

巨漢の天才研究員、時田浩作の開発したDCミニは非常に先鋭的な技術で、政府からの正式な使用許可が出ていない試作機であったため、千葉敦子がそれを利用しパプリカとして活動していることを知るのは研究所内では時田と所長の島寅太郎の2名だけであった。

敦子は島所長の依頼で、不安神経症で悩む彼の同級生の刑事、粉川利美のサイコセラピーを行っていたが、治療期間中に時田の管理する3台のDCミニが盗まれていたことが発覚する。

この報告を受けた車椅子の理事長、乾精次郎はDCミニの悪用によって容易く他者の深層心理に踏む込めることへの危険性から開発を凍結すべきだと3人に告げる。

これに異を唱え、討論している最中で島所長の言動が次第に意味不明瞭なものとなり、ついに彼は窓ガラスを突き破って飛び降りてしまう。

失命の大事には至らなかったものの、島所長の奇怪な言動の裏には窃盗犯による不当な精神干渉があったせいだと見抜いた敦子は、時田と職員の小山内守男と共に調査を開始する。

数日前から行方の知れない時田の部下、氷室啓が怪しいと踏んだ3人は彼の家に向かうがそこに彼の姿はなく、敦子は奇妙な幻覚に襲われてベランダから転落しそうになる。

責任を感じた時田が独断でDCミニを用いて氷室の夢へとアクセスするが、彼も夢に侵略されてしまい昏睡状態に陥ってしまう。

次第に現実世界へと漏れ出てくる夢の世界。

敦子は彼らを救い出し、無事DCミニを回収できるのか…。

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レビュー

感想

筒井康隆の原作小説もややぺダンティックな表現が目立つものの、世界観を構成する設定が細かく書かれておりSF作品として十分楽しめるのだが、僕は強く映画版をお薦めしたい。

小説は前述の通りの細かい描写にアレルギーを起こす人がいそうだし、後半の混沌に置き去りにされる人もいそうだ。

逆に読書レベルの高い方には小説も読んでほしい。

映画では匂わせる程度だった人間関係や陰謀が見えるのでサスペンスものとしても楽しめるし、段々と境界線が不明瞭になっていく感覚が楽しい。

映画版では比較的綺麗な終わり方なんだけれど、小説版では「あれ、これどっからどこまでが夢だったんだ?」っていう演出があるので、同じ<夢>を題材にしたChristopher Nolan(クリストファー・ノーラン)監督の『インセプション』(原題:Inception)や、PS4のゲーム『サイコブレイク』(原題:The Evil Within)が好きな人は小説版も楽しめそう。

ただ、敦子のキャラクターが映画版とはやや異なるので、映画版の敦子が好きな人は読まないほうがいいかも。

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どうしても時間の関係上、映画は原作を削っていく宿命にあるんだけれど、これはシナリオを変えながらも筒井康隆の描いた世界観を非常に巧みに構築したと言える。

有名なパレードのシーンは原作では全く描かれていないし(「パプリカ パレード」で検索)、今回の記事タイトルに始まる島所長の錯乱シーン(「オセアニアでは常識なんだよ!」というセリフが有名)も原作にはない。

キーパーソンとなる粉川も原作では2人の登場人物として描かれているし、ましてや最終決戦のあの描写は一切ない。

それでいて「同じ作品だ」と感じさせるのは原作の<核>を監督の今敏がしっかり掴んでいたからだろう。

この世界観の再構築に当たって印象的だったのが、色鮮やかな夢の世界とやや埃っぽい現実世界とのコントラストと、夢の孕む狂気を盛り立てる音楽。

音楽に関しては平沢進の公式webサイトから無料ダウンロードできるものがあるので、気になった人は聴いてみて欲しい(リンク先ページ中ほど「白虎野の娘」)。

1990~2000年代の山寺宏一、林原めぐみペアの作品(『COWBOY BEBOP』とか『新世紀エヴェンゲリオン』とか)が好きな人はきっと好きな作品。

アニメを観るというより、映画を観るという感覚でちょうどいい。

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もっと作品を楽しむために

公式がアップしている日本語の予告トレイラーが見当たらず、本記事の予告トレイラーはSony Picturesの英語版のものを載せているが、夢の世界の狂気が十分伝わったのではないだろうか。

カメラアングルとかセリフの言い回しについて書こうと思っていたけれど、監督自身がすごく丁寧に解説してくれている記事を見つけたので、演出面でのこだわりを知りたい方は直接そちらを見てもらったほうが早い。

もっと詳しく
リンク先は今敏監督が「『パプリカ』7つの手引き」と題して作品制作の裏側を開設する記事。
この後、10記事に亘って制作秘話が投稿される。
「第七の手引き」は投稿されなかった。

 

また、イギリスのユース&ポップカルチャー誌"Dazed"によれば、本作は「人間の集合的無意識の暗黒の力を開放するインターネットの潜在能力を描いたSFの寓話」という記述があったが、これには気付かなかった。

たしかに映画版を観返してみると、「抑圧された意識が表出するという意味では、ネットも夢も似てると思わない?」というセリフがあった(小説版にはない)。

And Paprika (2006), his most ambitious work, was a wild sci-fi parable on the internet’s potential to unleash dark forces of the collective unconscious on humanity.

上記引用元のDazed(イギリスのユース&ポップカルチャー誌)の記事によれば、2010年に膵臓ガンで亡くなった今敏監督の未完の遺作『夢見る機械』は、それまでの今監督の劇場アニメ全てにプロデューサー・企画で関わった丸山正雄と、今敏がファンであったという音楽担当の平沢進を中心にプロジェクトが進行しているらしい。

2011年に金銭的な理由でプロジェクトは中断してしまっているようだが、全1,500カットの内600カットは既にアニメーションになっているそうだ(イメージ画像が多数掲載されているので、気になる方は上記リンク先へアクセスを)。

今敏のブログの最後の投稿でも「一番の心残り」と綴っていた『夢見る機械』、公開される日を心待ちにしている。

 

補足

上記の公式ブログでも言及されていたが、トレイラーの最中にも度々登場するサーカスは、映画『地上最大のショウ』(原題:The Greatest Show on Earth)の影響を受けているらしい。

興味のある方は映画『グレイテスト・ショーマン』のレビューをどうぞ。

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