【マンガ】城アラキ / 長友健篩『バーテンダー』
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作品紹介

JACK
書き出しの時点で既にバーに行きたい私です。

作品情報

バーテンダー / Bartender

原作:
・城アラキ

作画:
・長友健篩

連載誌:
・スーパージャンプ(最終3話はグランドジャンプ)

連載期間:
・2004年~2012年

既刊:
・全21巻/完結

あらすじ

新しく汐留にオープンする「ホテル・カーディナル」の料飲部に勤務している来島美和(くるしまみわ)はバーの改装に伴い、料飲部長の神嶋の指示の下バーテンダー探しに奔走していた。

とあるバーで酒が不味いとバーテンダーにケチをつける美和は、隣席の男に「飲むのに時間をかけすぎたせいだ」と諭される。

自分の非を認め謝罪する美和だったが、偶然にもその視線の先にあったバーの資料の中に隣席の男の顔写真を発見する。

ヘラヘラした態度からはとても想像できなかったが、隣席の男は『神のグラス』と称賛される腕を持つ天才バーテンダー佐々倉溜(ささくらりゅう)だったのだ。

26歳の若さにしてヨーロッパ食品協会主催のカクテルコンテストで優勝、パリ・ラッツホテルのチーフバーテンダーを務めていた彼は8年ぶりに帰国したところであった。

「バーテンの経歴や技術など必要ない」と主張する部長の神嶋(かみしま)に不満を感じていた美和は佐々倉を強引に説き伏せ、ホテルのバーテンダー選抜試験に彼を呼び出した。

敢えて「意地悪なお客様」を演じて候補者らに難癖をつける神嶋に対して佐々倉が出したのはなんと「水割り」。

馬鹿にされたと怒り佐々倉を追い出す神嶋であったが、後で飲んだその水割りは彼が今まで飲んだことのない美味さだった。

佐々倉を追いかけて聞いた話で、そのチョイスがバーテンダー嫌いを公言していた神嶋を慮ったものであることを知り、また佐々倉の説くバーテンダーのあるべき姿に心を打たれる神嶋。

新しいホテルに来るよう勧誘する神嶋だったが、佐々倉は「いろんなバーを見たい」と言ってその誘いを断る。

そして佐々倉が巡るバーとその先々で出会うクセの強い来客とのヒューマンストーリーが始まる。

レビュー

感想

実は僕は足掛け5年、計6店舗の飲食店・バーで働いていた経験がある。

レストラン、オーセンティックバー、エンターテインメントバー、ラウンジと経験してきたが、当時は志が低かったもので、結局中途半端なへなちょこバーテンダーで終わってしまった。

オトナの雰囲気が漂っていて入るのにちょっと勇気がいるバーのドアを開けて、カウンターでバーテンダーと向き合って座ると、やっぱり今でもちょっと憧れてしまう。

洗練された無駄のない所作、細かいところまで行き届いた気配り、どんなお客様にも合わせたトークスキル…。

JACK
ビシッと決まってて格好いいんだよねぇ。

 

このマンガではお酒やカクテルにまつわるエピソードをストーリーと絡めてわかりやすく紹介してくれるので、読み進めていくうちに知らず知らず知識がついてくる。

また、「接客」への真摯な心構えや職業倫理が丁寧に描かれているので、接客業の方は読んでおくと役に立つはず。

話の骨子は基本的に、問題を抱えたお客様が来店→ちょっとしたトラブル→カクテルを提供しながらエピソードを紹介→目から鱗が落ち、靄が晴れる思いをして解決という展開なのでスイスイ読める。

あとがきでも原作者が語っているように、この作品はカクテルの華やかさを身に纏っているが、その実深いヒューマンドラマである。

ともすれば人生の指針となりそうな名言もちりばめられていて、疲れた社会人には沁み入る言葉も多々あるはずだ。

この作品はカクテルを題材にしているように見えて、問いたかったのは人の生老病死である。生きていくとこの喜びであるよりは苦しみである。

『Bartender』21巻より 城アラキあとがき

 

2006年にアニメ、2011年にドラマ展開しているが、そちらはストーリーの省略や表現の誇張が僕にはどうも合わなかった。

また、原作者を同じくする『バーテンダー à Paris』、『バーテンダー à Tokyo』、『バーテンダー6stp』というマンガもあるが、これは別物なので注意。

お酒を飲みながらゆっくり読むのが良い。

もっと作品を楽しむために

このマンガはバーテンダーの格好いい部分をしっかり引き出して描いてくれているので、これを読んでバーテンダーになりたくなってしまった人もいるかもしれない。

または、宅飲みを充実させたいという人もいるかも。

そんな読者を想定して、ここでは基礎知識を学べる書籍について紹介したい。

カクテルなんて極論を言ってしまえばお酒と何かを混ぜればできてしまうので、何となく「これとこれ混ぜればこういう名前のカクテルなんでしょ」という理論もまぁわかるんだけど(超暴論!)、折角だから美味しく作りたい、雰囲気を楽しみたい、勉強したいという方は是非チェックしてみて欲しい。

 

まずは基礎からしっかり学びたい人向けに、福西栄三監修『新バーテンダーズマニュアル』。

『バーテンダーズマニュアル』、『新版バーテンダーズマニュアル』と似た名前のものが出ているけどこれが最新版なので注意。

「お酒」の歴史から、造られ方、用具、レシピまで網羅されていて、正直これ一冊あればもう他は買わなくてもいいんじゃないかと思っている程信頼している。

バイブル。

 

もっと勉強したい人はサブ書籍として、日本バーテンダー協会『改訂 NBA新オフィシャル・カクテルブック』を。

用具の扱い方や技術に関する記述が豊富。

レシピ量は『新バーテンダーズマニュアル』の2倍程度。

1次試験はこの本から出題されるので、NBA(日本バーテンダー協会)認定資格の取得を目指したい人は必携。

 

「細かい知識はいらないから作り方が知りたい!写真見たい!」という人にはこちら。

成美堂出版『カクテル大事典800』。

材料、度数、作り方(ビルド、ステア、シェーク、ブレンド)で引けるレシピ集。

多分この本が一番レシピ多い。

 

手軽に楽しみたい人を置き去りにしてしまった。

お酒何本も揃える余裕ないし、置き場所もないし、グラスもそんなに買えない人がほとんどだと思うので、少しの投資でたくさん楽しみたい人向けに、渡辺一也監修『カクテル完全バイブル』を。

4本のお酒でできる50種類のカクテルレシピの特集ページがお薦め。

また、400種のカクテルレシピも掲載されていて、バーに行く前に眺めてみるのも楽しいかも。

 

なんだかんだ書いたけど、実際にバーに足を運んでその雰囲気を楽しむのが一番。

是非、プロのホスピタリティと技術に酔いしれて欲しい。

ついつい楽しくなって頼みがち、作りがちだけど、くれぐれも飲みすぎにはお気をつけて。

JACK
僕はいつもバーでは3杯まで、と決めています。
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